「まもなく到着いたします」
女性車掌さんの柔らかな声でアナウンスがありました。
それを聞いていた4〜5歳の男の子が、おばあちゃんを見上げて尋ねました。
「まもなくって、どのくらい?」
おばあちゃんは、優しく答えはりました。
「そうねぇ、おばあちゃんはもう少しだと思うけど、あなたには長いかもねぇ」
男の子はふーんと言って、窓の外を眺めました。
程なくして、電車が駅に着きました。
「そんなに長くもなかったよ」
男の子がおばあちゃんに言いました。
あらそう?と、おばあちゃん。
なんだか嬉しそうでした。
そのやり取りを隣りで聞いていて、2人の時間の流れ方が素敵やなぁと思った訳です。
何でか?
時間の流れは本当に人それぞれで、その表現の仕方で誰かのスピードを正確に感じ取ることはほぼ無理です。
お孫さんにどのくらいと聞かれて、戸惑わずにご自分と相手の違いをさらりと返す。
なかなかできないと思ったんですわ。
私だったら、さあどうかな?ってすっとぼけるのが関の山だったと思うのです。
相手と自分の立場それぞれを認めているように感じた、同じ目線のやり取りに感じて、心がほっこりしました。