コロナ禍に突入した頃のこと。
K-popにはまりまして、最初は1グループだけに注目していたのが、最近はオーディション番組にも興味があって見ています。
これの何が興味深いかというと、中高生ほどの若い子達が限られた時間の中で必死に考え、いろんな選択をして選ばれようとしていくところ。そしてそこに才能と運のバランスが関わっているように見えるところなんです。
ダンスや歌の練習の積み重ねは番組に参加している練習生全員がしていることで、元々の才能・能力は正直なところ大きな差は無い。
じゃあプロデューサー陣はどこを見て何を判断して選ぼうとしているのか、そこに着目すると、練習生達の「運」が見える気がしてくるんですよね。
パート1では練習生24人が12人に絞られる方法が、運によるところがやや大きいと感じました。
チームを組んでチーム全体がまず評価され、その中で個人に点数が付けられるから。このチームを組む段階で運が関わっている感じがします。
また、デビュー本命視されている練習生が自分をアピールできるとても大きなチャンスを得たのに、今の安全を優先してそのチャンスを活かさなかったシーン。努力と運の放棄だと思ったし、それは結局一般視聴者の投票という運に委ねることになりました。
パート2は徹底的な個人戦だと発表されていますが、実は組んだチーム内でどれだけチームに貢献できているかが評価の分かれ目になっている描写がありました。チームへの貢献という個人の能力があるかどうか、なんですよね。
それをプロデューサー陣が意図していると理解してはいなくても、自然にできる子・チームメイトを放っておけない子が高評価を得ていました。
これ、おもしろいのが、一般視聴者の前で課題曲を披露し直後にその一般視聴者が評価するポイントもあるのですが、その場にいる一般視聴者はオンエア前なので課題曲の練習風景を見ていない訳です。
なので練習生にとってはその場の一発勝負的な側面もあります。
一般視聴者はたった1回の公演を見て誰がよかったかを判断し投票していますが、明らかにチームに対しての貢献度が低かった子達が軒並み得票数が思っていたより低かったんですね。
ここで思い出したのが、2017年にNHK・Eテレで放送されたオイコノミア「経済学で考える 人生は運か?努力か?」です。録画して何度も見返しています(笑)
大阪大学の経済学の先生が、集団としての運は変えられるかもという話をされました。
切り口としてピコ太郎・PPAPが大ヒットした要因を分析。古坂大魔王さんが努力したことや才能を内的要因とし、運が働いたことを外的要因として比較。
内的要因があったから外的要因が生まれたと言えるかも、と。
ただ、ビジネスを成功させた人のうち、成功は努力次第という考え方の人は税金や寄付を嫌がる傾向があるのだそう。
これとは逆に、自分の成功は運が良かったからで助けられたからだと考える成功者は、めちゃくちゃ寄付をするとか。そして経済が回る。
この番組では、今までの成功は運のおかげでこれからの成功は努力で続くと考えると経済的にはよい、と結論付けられていました。
そこでもうひとつ。
2022年のイグノーベル賞経済学賞が贈られた研究に「才能ある人ではなく運のいい人が成功する理由を数学的に説明(Talent vs Luck: the role of randomness in success and failure)」というのがあります。
これも経済学なのがおもしろいですが、そこそこの才能を持った最も幸運な人は、最も才能を持った不運な人よりも常に成功することがシミュレーションの結果分かりました。
これも努力や才能と運の関係なんですよね。
卵が先か鶏が先かっぽいところもありますが、どっちも要因となっています。
この研究でも資産配分まで研究されているので、もっと知りたい方は平たく解説してくれている動画がありますのでどうぞ。
まだオーディション番組はパート2が始まったばかりですので、誰がどんな風に選ばれどんなグループとしてデビューをするのか、楽しみに見たいと思います。
NHK・Eテレのオイコノミアのサイトでは紹介した回の解説がないので、どんな内容だったかをうまくまとめているサイトのリンクを貼っておきます→★ ☆