子どもが成長してきて、家族揃った食器を使いたくてあれこれとお店を覗いていた時期。
店長らしきご老人が1人だけで店番している、和食器のお店の店頭に、なんとも私好みの磁器がありました。
大きさも煮物の小鉢にするならちょうどいいし、いいなぁと手にとっていろいろ確かめていたらね。
「それ、安いでしょ?」
第一声がこれ。
まだ値段見てなかったから、すぐ確かめたのですが、物相応の値段だなって思いました。
多分、お店の人は相場より安いですよって言いたかったのかもしれない。
でも、あちこちのお店で見ていたから、そんなに安いと感じなかった。私の感覚では、妥当な値段だった訳です。
それで、ふと「値段が安ければ売れるって思ってるのかな?」と。
そりゃ、お安く買い物できるならそれに越したことはないですよ?
でも長く愛用したいものは、その物に相応しいと思えばその額を気持ちよく払うのが、物への礼儀やって思っているので。
なーんか、カチンときたんよなぁ。
これ、たとえば「お安くさせて頂いてます」なら、全然受け取る印象が変わった筈。
店側として努力しているお値段だってアピールは、素直に受け取れるから。
ほんまにちょっとした言葉使いなのですが。
「私が」なのか「あなたが」なのかで受け取り方って大きく変わる。
販売だけが接客ではないけれど、どんな職種でも言えると思う。
私も上手く言えてるかは分からない。
だから相手の立場に立つのは大事やと思って、心掛けをしています。
で、その食器はほんまに気に入ったのですが、そっと戻して店を後にしました。
ほんま、残念やったけど。